もしも私が家を建てたなら・・・

もしも私が家を建てたなら・・・

家を建てるということは、多くの人にとって一生に一度のことと思います。

家づくりを勉強し始めると、いろいろな疑問にぶつかると思います。ここは、私なりに思うことを日記で綴った、実は3年前に当社のホームページ上にあったコラムの復活です・・・。

但し、発言は私個人的に思うことですので良し悪しの判断はご自分で責任を持ってください。ここに書かれていることがすべて正しいとは限りません。予めご了承ください。

(平成11年10月から書きためたものなので、現況とは一致しない場合があります)


タカラスタンダード(水廻り設備機器メーカー) 平成11年10月19日

先日タカラスタンダードが来ました。

なにやら鋳物の浴槽を装備した新商品のカタログができたとのこと。

私が見る限り、システムバスのつくりはタカラは相当頑固で気に入っています。

しかし、これからの家づくりの提案と問題提起を私は自分の家でしたいと思うところがあり、私が思うに、これからうちが力を入れていきたい分野は福祉、つまりバリアフリーの分野なのです。(これ内緒ですよ・・!?)

ということで、注目しているのは松下電器産業の座シャワーのついたシステムバス。

これが捨てがたい・・。

タカラは質の良さ、作りの良さはピカイチなんだが、バリアフリーということにかけては・・・。

乾式タイル 平成11年10月20日

今日は乾式タイルの件でトステムが来ました。一番気になっていたことは材質のこと。

思った通り、せっ器質のタイルでした。希望は磁器質のタイルなんですが、トステムでは扱っていないとのこと。現在検討中の乾式タイルの違いはこうです。

サンクレイは磁器質タイル、でも下地ボードがケイ酸カルシウム板系でちょっとどうかな?トステムはせっ器質タイルで吸水率が気になる。役物がなく、平二丁掛タイルを突き付けで接着していてちょっと難あり。

下地ボードは昭和電工製のセメント系でサンクレイよりも良いような気が・・。でも安い・・。残るはイナックス!

ダイライト構法 平成11年10月26日

今日は大建工業のダイライト構法の研修がありました。

このダイライト構法は私の自宅でも採用を決定しています。

ただし、筋違は入れたまま。昨年の登場以来しばらく静観をしていたのですが、すばらしい材料と判断しました。7月より当社の請負工事でもダイライト構法を採用しています。

ダイライト構法とは高耐力面材のダイライトパネルを外壁下地に貼り、より丈夫な家を造ろうとする物で、この面材が登場するまでは2×4の用に面材を貼る場合は構造用合板などしかなかったのですが、年数と共に合板がふけてくるのが問題で、建築基準法の法規の本からも以前は合板という言葉が使われていたのですが、現在は合板という言葉はなくなり、通気性のある面材を貼ることが望ましいと変わりました。(と大建工業から聞いています・・。)

ダイライトのすごいところは通気性があるということ、燃えないこと、無機質なためシロアリを植え付けても死んでしまうこと、腐らないこと、丈夫なこと。欠点は、やはり現行と比べればプラスアルファのものですので、予算的なものかな?付加価値をわかる人ならば、これは買いです。

ハウスメーカー 平成11年12月14日

今年末にかけてはS友林業など、ハウスメーカーと多くの相見積もりをしました。

この狭い街でお客様によってサービス内容があまりにも違うのにびっくり!同じ条件で請け負うべきできだと思うのですが・・。

しかし、私もハウスメーカーの経験があるので思うことですが、見積に見合う工事内容をもっと期待します。プレゼンテーション・営業のうまさ、設計の巧みさは頭が下がりますが、それにばかり目がいって工事仕様書などを見てみると、特に何の特長もない高耐久性仕様の必要最低限の仕様でなんと坪60~68万円以上!経費がかかるのももっともですが、地元で真面目にやっている工務店や大工は報われません。お施主様も・・・。でも真面目にやっている業者を捜すのが一般の消費者の方は難しいのでしょうね・・・。

地盤調査 平成12年1月11日

つい先日地盤調査が入りました。調査は2社に依頼し、従来からある良くメーカーも採用しているスウェーデン式サウンディング調査と、近年の新しい技術である表面波式地盤調査をやりました。

サウンディング試験は土中のガラや異物に当たると誤差が出やすく、私はお施主様の請負工事には、より正確な結果が期待されるという表面波式を採用しています。結果は、以外に大きな誤差が出ました。なぜか?やはり既存の建物を解体した後なので異物が埋まっていて、すごい数字が出ているところがあり、これに加え、支持力を換算するときの土の単位体積重量を見るかどうかでの誤差のようです。この荷重を検討するかどうかで4トンもの誤差が出ていました。地盤調査にもいろいろな手法がありますので、違った見方をしてみるのも参考になります。

一番良い、最適といわれる方法は、ボーリング調査という手法ですが、価格が高く、住宅においてはなかなか採用されません。公共工事や、RCなど大規模なものはみんなボーリングです。もう少し、お施主様の地盤に対する関心が高まれば、簡易的な手法でなく、ボーリング調査をさせていただけるようになるのでしょう。

本業は材木屋 平成12年1月15日

外壁の乾式タイルの件でINAXより見積がでました。

結果は、一番高い!材質はトステムと同様やはりせっき質タイルでした。もう一度見積もりし直してくると言うが、一体いくらまで出してくるのやら・・・。

整理すると、トステムは一番安いが役物がないことと、せっき質であることがちょっと難。色・柄はまあまあ。

サンクレイは、価格良し、品質良しだが、色・柄が正直なところ気に入ったものがない。取引先が遠方。

INAXは、色・柄は言うことなし。が、価格が高く、品質がせっき質。結局のところ、何を優先するかで決まりそうです。

桶市の暖簾 平成12年1月27日

飛び込みで営業に来て、INAXの見積を持ってきたタイル屋が来ました。以前はつきあったことのない業者です。

で、どうかというと見積以前の問題で、全く態度が悪い。ぎりぎりまで我慢していましたが、堪忍袋の緒が切れた!人と話すのにガムはかんだまま、言葉遣いもなっていない、私よりずっと先輩なので今まで我慢していたが、あまりに馬鹿にしている態度なので、つい怒鳴りつけてしまいました。仕事がちゃんとできるのは当たり前のこと。それ以前にマナーがなっていない人間は必要なし。そんな職人とつきあってしまうと、こっちの看板に泥が付く。地元でも大きなタイル屋で、一代で会社を大きくした世間的には立派な人かもしれないが、人間的には尊敬できない。「桶市」の暖簾は、そんなに安くないよ。

「いい家」が欲しい 平成12年2月1日

「いい家」が欲しい(三省堂書店) という本が売れています。よくぞここまで書いたな、という内容です。

家づくりを進める上で本当に大事なこと、特に木造住宅に限って言えば、私が他社と違うんだ、1つ1つ、自分の信用をかけてつくっているんだとお客様に説いてきたことが、そのまま書かれています。この本の内容は特に断熱方法について書かれたものですが、今まではこのような本の見方をお客様に説明するのが大変でした。どうしてもイメージ先行で、メーカーハウスで坪65万も70万もかけてつくっている人に、いくら私が説いても聞く耳を持ってくれなかったお客様も数多くいました。そんな人は、この本を読んでよく考えることが大切ですね。手遅れですが・・・。

というわけで、当社もこの本の工法、ソーラーサーキット住宅を施工するべく特約工務店の仲間入りをしました。日本の昔の民家のように風通しが良くて爽やかな家、また、北国の厳しい寒さも寄せ付けない閉鎖型の家。この相反する2つのタイプを1つの家で両立させる工法、これが外断熱・二重通気工法のソーラーサーキットです。季節ごとに衣替えができる、今の段階では理想といえる工法の1つと考えます。これにダイライト構法を合わせること、そうしたら現在私が考えられる家で一番好ましい家ではないでしょうか?

基礎工事 杉の家オリジナル 平成12年3月6日

基礎工事が着工し、まず最初にすることは基礎のベースを乗せる地盤まで根切りして整地をかけます。

当社の標準仕様の基礎は、割り栗石地業150ミリ、捨てコンクリート30ミリ、ベース厚150ミリとなっています。通常ですと、べた基礎の場合、設計地盤面より約30センチ下が実際に基礎の乗る地盤面になるのです。

ちなみに布基礎の場合は、あと150ミリ下が基礎の乗る地盤面になります。下の写真は、整地し、割り栗石を立てて敷き並べ、その上に目つぶしを入れ平らにします。そして、その上に防湿ビニールシートを敷き、地盤から上がる湿気をシャットアウトします。

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坪単価の怪しげな誘惑(その1) 平成12年3月7日

今はどこへ行っても、お宅は坪いくらで出来ますか?です。

昔はそんなことはなかったのですが、今は当たり前になりました。お施主様がおおよその予算を把握するのには全く合理的、かつ、明解です。

しかし、そこには坪単価のマジックがかくされています。どこまで含まれて標準仕様か?ということです。当社でいう坪単価とは、建物本体の部分についてのみの価格です。

というのは、基礎工事より上の部分について全部という意味です。では、何が入っていないかというと、外部給排水工事、外構工事などです。具体的にいえば、200坪の土地の奥の方に建てるのと、50坪の土地に手前の方に建てるのでは配管工事などの距離や条件が違うので、一概に同じ条件で価格設定できないということです。浄化槽の必要なところと、いらないところでも大きく異なります。駐車場を造り、門扉をつくる人もいれば、つくらない人もいます。この部分が含まれておりません。

ところが、いわゆるローコスト住宅というものの坪単価設定とは、常識が標準仕様の面で異なっているということが少なくありません。

つまり、当然必要だろう?と思うものが最初から標準仕様からはずされていて、オプション扱いになっているということです。これが、常識が違う、土俵が違うということです。

坪単価の怪しげな誘惑(その2) 平成12年3月9日

さあ、見積もりです。ハウスメーカーは実にうまい戦術をとります。

私には信じられないことですが、はっきりとした図面や仕様が決まらないうちに、心理的に拘束をするために、契約書というものではなく、なんとなく抵抗感がない「注文書」または、「申込書」なんていうものを提示してきます。気が変わったらいただいたお金はお返ししますなんて、憎いことを言ってきます。

が、実際に返るかどうかは定かではありませんが、そんなこんなで曖昧なまま、決めてしまうのです。その書類に判を押したらもうずるずるとメーカーの手のひらに泳がされてしまいます。

細かく決めていないままに契約が成立してしまうので、追加工事が出るは出るは・・・。

しかも、その価格が高い高い。ここのところは儲けどころというわけですね。

私は、逆です。設計がきっちり決まり、金額が決まるまで打ち合わせさせていただきます。もちろん、そんなことをしているうちに、他社に決まってしまうこともありますが、お気の毒にと思いながら、見送っています。

詳細が決まったら契約しますが、それでも追加工事が出てしまった場合は、私はお客様にとって最初から予算にくんでいない金額と思います。ですから、当社の追加工事は、出来るだけお客様の負担にならないよう、殆ど原価に近い見積もりです。喜ばれてナンボです。

坪単価の怪しげな誘惑(その3) 平成12年3月10日

坪単価設定には、それにかける面積のカラクリも隠されています。 普通は、坪数というのは屋根・壁・床が造られたいわゆる延べ床面積ですが、多くのメーカーの場合、これが異なります。

どうなるかというと、施工床面積に変わります。この面積はというと、たとえば玄関ポーチのタイルの部分とか、バルコニーの部分とかというものです。壁や天井、基礎、屋根はないですが、床は工事するというわけです。この部分も面積算定に加えるとするならば、延べ床面積での坪単価設定より、同じプランで坪2万円くらいの差が出ることもあります。

当社の坪単価設定は、延べ床面積での設定です。玄関ポーチやバルコニーは、その部分を別にお見積もりしています。その方がフェアです。玄関ポーチは壁も天井もないし、バルコニーは屋根がない、人によって欲しい広さは異なるし、別に見積もった方が安いですから。

アルミバルコニーなら20万円ほどですから含んでしまう会社もありますが、そこを売りにするようなものではないと思うのですが・・・。

そういう会社に限って諸経費は別途です。本末転倒ですが、多くのお客様はこんな仕掛けにまんまとはまってしまいます。賢いとはいえませんね。気を付けましょう。

基礎パッキンの話(その1) 平成12年3月11日

基礎パッキン工法というものがあります。

土台を湿気を含んだコンクリートに直接乗せないということは良いことです。

しかし、これにもどうもメーカーの普及させようとする意図と、造り手側・売り手側の事情がありそうです。

最初にこの方法を認可受けたのは、城東化学工業という会社です。パッキンを作っている会社です。お客様に届かない声として、メーカーが我々工務店側に進める営業トークはこうです。「床下換気口をやめてそのコストとをパッキンに使ってください。床下換気口より換気量があるし、どうしても出てしまう換気口廻りのひび割れはクレーム対象になりますよ。このパッキンを使って換気口をなくしてしまえば、ひび割れは出ませんから、クレーム回避にもなりますよ。」と・・・。

そもそもパッキンを何のために使うのでしょう?床下を良く換気させて、湿気を持たせないためです。それなのに、何故、換気口を省略しなければならないのでしょう?パッキンを入れて、換気口も付けた方が、より換気量が増して良いのではないでしょうか?つまり、少しでもひび割れが出ると、欠陥住宅が注目されているこのご時世、欠陥住宅といわれかねない。クレームを避けたいのです。

基礎そのものが、換気口という構造的にどうしても弱い部分がなくなって強くなるというのは事実ですが、今まで何十年と床下換気口を付けてきて、欠陥住宅をのぞいては、構造的に何ら問題は起こっていません。当社では、基礎パッキンをやるかどうかは、そのデメリットも説明した上で、お客様に自由に選択していただいています。

当社ではパッキンを入れる場合でも、換気口は基本的には造っています。それが間違っているという人も確かにいるのですが。基礎パッキンは、床下の換気をより多く、より効率的に行う為に使うものなのです。さて、どんなデメリットがあるのでしょう?換気量が増すという根拠は?パッキンの材質による違いは?

基礎工事 配筋工事 平成12年3月12日

基礎のベース部分の配筋工事です。

主筋に13ミリを使い、他は10ミリの鉄筋を加工します。

配筋ピッチは縦横とも200ミリ感覚で配筋し、コンクリートを打ち込んだ際に鉄筋が下がってしまわないように、所々溶接して鉄筋を一体化します。ここは地盤改良をしたので普通の布基礎でも充分なのですが、工事費用としては、布基礎に防湿コンクリートを打ち込んでも、べた基礎にしてもさほど変わらないので、あえてべた基礎を採用しました。

ココデ注意ですが、良くべた基礎だから大丈夫なんて話を良く耳にしますが、べた基礎は軟弱な地盤ではかえって地盤沈下を引き起こします。べた基礎は不同沈下を防ぐための基礎であり、地盤沈下を起こさないために採用する基礎ではありません。間違わないように。

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土台敷き 平成12年3月25日

基礎工事が完了すると土台敷きです。

私の自宅の土台には杉の赤身のみを木取り、水回りには椎の木の土台の赤身を使っています。高さ4寸x幅5寸の土台です。

土台にはどんな木がよいのか、良く議論されるものなのですが、白アリの被害が多いという地域で、被害が最も少ないと聞いたのは杉の赤身でした。私の所では、地元の立木を伐採し、丸太から製材し、古い年配の、目の澄んだ杉の赤身だけを使いました。通常は建具材として製材されるものを土台にしてしまいました。もったいないですが、いい材料です。床の下地材になる大引きは、杉の赤身4寸角です。つまり、普通は柱として使われている杉の4寸角を、床下地材として使いまわしています。桧の土台が丈夫とか、栗の土台が良いとか聞きますが、いずれをとっても丈夫なところは、やはり赤身の部分だけです。白太の部分は腐ってなくなってしまいます。高級材神話にごまかされないよう、良く吟味してください。

昔と違って、国産材の木は大きなものが少なくなり、大量供給が難しくなっています。昔から言われていることと矛盾が生じていることが確かに存在しています。一般的に手に入りやすく、価格も安定し、一番長持ちすると思われるのは、上記のような特殊材をのぞいては、注入土台、米ヒバではないでしょうか?腐りにくく、虫害も少ないのは事実です。

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床束、土台パッキンの選択 平成12年3月27日

私の自宅の工事について選択材料で迷ったこと、それは床束の選択です。

最近はプラスチック製の束や鋼製の束が標準採用されている会社もあり、しばしばその選択には疑問を持つことが多かったように思います。築20年とかの家の床の張り替えを頼まれたり、白アリにやられてしまった家の修理を目の当たりにすることは多いのですが、痛んでいるのは束のみということが大半でした。白アリに食われているのも束だけで、その上の大引や根太といった材はしっかりしていました。プラスチック束は床材が重みのある立派なものを使ったときに若干跳ねるような弾力を感じます。

結局、昔からのやり方、木で束を作ることにしたのですが、その根拠は、床下もコンクリートで防湿された家について、白アリ等の被害にあった家を見ていないこと、昔よりも基礎は格段と高くなっており、湿気を持っている状態の家は少ないことが上げられ、鋼製束にしてもプラ束にしても、床下に接着剤で止められているだけで、ジャッキの要領で高低差のバランスを修正できるというメリットの部分はあるが、突っ張ることに関してはそれが可能だが、引っ張ることに関してはあまり意味がないということ、そして、木という材料の柔軟性、加工の良さ、メンテナンスの良さは慣れた材料だけに類を見ないことがその選択の分かれめでした。

いずれも甲乙付けがたい材料で、その選択が正解だったかどうかは分かりませんが、無難なところに落ち着いたと言うことでしょう。

土台パッキンについては、プラン上、床下換気口の数が少なく、換気量が不足のため、パッキンを入れました。メーカーはフクビを採用しています。

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自宅の上棟式 平成12年4月7日

ついに来ました、この日が。上棟です。

正直、ここまでの建物になろうとは想像していませんでした。予想以上の出来です。

柱は全て5寸角杉赤身、和室廻りはすべて赤身取りの四方柾柱。床柱はエンジュ8寸、仏間タガヤサン6寸、他7寸~尺2寸までの欅大黒柱8本、ショールーム中央の大黒柱は樹齢500年を超える杉の木の原木。廻り8尺、元2尺3寸、長さ16尺の大物です。

価値ある木が所狭しと乱立するなか、この杉の木一本でその存在がかき消されてしまいます。そのくらいの存在感を持った大黒柱になりました。この柱は完成しても事務所の中央に立って、いつでも見ることが出来るようになります。会津若松の山で伐採され、元の根に近い方の価値ある部分はそれなりの銘木として製材され、上の方の枝葉の部分、製材すると価値がなくなってしまう部分を原木のまま、皮をむいただけで使いました。「木を生かす」ということを語るのに、この木は話題を作ってくれそうです。

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屋根断熱と通気層 平成12年4月20日

屋根工事に取りかかっています。

この家の屋根の造りはちょっと特殊です。どう特殊かというと、二重垂木、二重野地、二重防水、二重通気、屋根断熱、棟換気などなど・・、ソーラーサーキットの家で学んだ屋根断熱の基礎知識を応用しています。

まず、屋根垂木を打ち、杉の野地板を張ってルーフィング(防水紙)を貼ります。普通だと、この後、瓦桟を打ち付け瓦を葺いて終わりなのですが、ルーフィングの上にもう一度垂木を施工し、通気層を作ります。そこに垂木よりも若干薄めの断熱材を挟み込み、もう一度野地板を張り、ルーフィング、瓦桟、瓦というように作っています。

つまり、全てが二重で、小屋裏を流れる通気層と、屋根の野地板にそって棟から外へと流れる外部の通気層の二重通気を屋根にとり、断熱効果、防水効果を高め、野地板等に風を当て、その腐りを防止するというものです。垂木、野地板は杉の赤身、ルーフィングはスーパーチャンピオン、釘、棟金具等金物はすべてステンレスを使っています。

特にルーフィングは従来のアスファルトルーフィングは当社では使っていません。簡単に破けてしまい、安いですが、雨を止める大事な役割を担ったものですので、出来るだけコストとは関係なく良いものを使いたいものです。屋根断熱材は、カネカの押出法ポリスチレンフォーム断熱材カネライトフォームF3の50ミリです。ポリスチレンフォーム断熱材にはF1、F2、F3とあり、ビーズ法、押出法といった製造方法があり、断熱性能が異なります。この中で一番断熱性能が高いのは押出法F3です。

断熱材:カネライトフォームF3 50ミリ

断熱材:カネライトフォームF3 50ミリ

ホワイトウッド集成材という木 平成12年4月30日

全国書店にて販売されている「建築知識」4月号にて、構造用集成材に関する特集記事か組まれました。

要約すると、集成材の材料としては、ヨーロッパ系のホワイトウッド系(スプルス等)が圧倒的なシェアを占めている。また、軸組工法の柱のシェアは杉34.2%、集成材26.1%、桧26.1%だそうです。しかし、品質確保促進法の導入により、集成材の需要が増加しているようです

。ところが、集成材の問題点として、構造躯体の劣化対策に関する評価では、ホワイトウッドは最低ランクに位置づけられ、高度の劣化対策を要求されています。

つまり、たいへん腐りやすいということです。その性質上、ホワイトウッドの集成柱は、最高性能である「等級3」を満たすことは、難しいのです。

この結果より、住友林業など一部のメーカーで、今後の集成柱の部材の選択を検討していて、建設省側も意見を受け付け中で、基準自体の見直しも検討されているようです。

この結果は、私が常日頃お客様に言っていた、集成材は確かに強い、但し、数字上は・・・。ということが証明された結果となりました。集成材という技術は素晴らしいもので、認めなければならないのですが、その張り合わされている木そのものに問題があるんだと、そこをもっと注目してくださいと言うことが言いたいのです。私は・・。

集成材を使うときは、どこで加工され、出所はどこで、どんな木が使われたのか、そこが一番大事なことなのです。それさえ分からずに、適材適所とは言語同断!ちょっと熱くなってしまいました。

基礎パッキンの話(その2) 平成12年5月7日

基礎パッキンにデメリットはないのか?やはりあるのではないでしょうか?

先に書いたように、コンクリートの基礎に直接木の土台を乗せないことは、この上なく良いことです。

しかし、基礎の設計はそもそもが等分布荷重で考えられてきたものではないのか?という疑問が頭をよぎります。

つまり、家の荷重を受けるのに、面で受けていたものが点で受けるようになり、パッキンの部分に通常の何倍もの荷重が集中してくるということです。しかし、それに対して基礎の補強ということは不可能です。殆ど問題ないのでしょうが、構造的計算では証明された記事を見かけません。

しかし、昔から「ネコ」を履かせるといってやられていた工法でもあるのは事実です。それと、一昔前まで金融公庫では認められなかった工法でした。換気量と材質についてはこの次で。

基礎パッキンの話(その3) 平成12年5月13日

換気量が増すという根拠は、実際に近い条件で測定したものですが、風の流れを実際に見たものではなく、炭酸ガスを床下にためて、一晩たって通常の換気口の基礎と、基礎パッキンの基礎の炭酸ガスの濃度を測定した結果、基礎パッキンの方が残留ガスが少なかったという実験だったらしいです。(城東化学工業より)

材質についてですが、昔は赤樫や栗の木が一般的でしたが、現在では本当に腐りにくい所謂良材が手に入れることが少なくなり、私は木を避けました。栗のパッキンを自慢している会社もありますが、栗の木という神話はおいといて、今の栗のパッキンは白太の部分が多く、国産材ではない外材ものが多く流通しています。木材市場に行くと、まるでゴミというか、木っ端のように100円くらいで扱われています。

私がフクビを選んだのは、まず第一に城東化学に次いで実績があること、腐らない材料であること、城東化学のものに比べて、土台面に接する面に突起があり、ずり落ちの心配に配慮されていること等を考慮しました。

ステンレス製のものも検討しましたが、ちょうど検討しているときに、日経ホームビルダーという雑誌で特集が組まれており、その中で若干の沈み込みが認められたというような記事を見かけ、却下しました。

瓦葺き工事 平成12年5月20日

屋根材には、やはり瓦をお勧めします。陶器製釉薬瓦の洋風平板瓦です。

コロニアルは最近はあまり見かけなくなりましたが、阪神淡路大震災の直後はその軽量さがかわれて、良く葺きましたが、色あせしてしまうのが難点で、最近はもっぱら瓦葺きが主流に戻りました。雨漏りに対する10年保証制度も考えると、やはり屋根については、しっかりしたルーフィングを葺いて、陶器瓦ですね。コロニアルは約10年くらいが目安で、塗り替えや葺き替えなどの補修が必要になります。もっとも、その分、初期投資の費用は瓦の半値ですが・・・。

和風にするか、洋風にするかは、外壁のデザインにならって決めました。昔は洋風というと「S瓦」だったのですが、平板が発売されてからは、瓦業界もブレイクしているようです。

ちなみに、陶器和瓦だと、「釉薬瓦」の他におすすめの瓦としては「いぶし瓦」があります。いずれも陶器製ですが、製造過程が若干異なり、「いぶし銀」のほうが若干割高です。

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屋根の勾配について 平成12年5月21日

瓦とコロニアルでは、必要な屋根勾配が違うというのをご存じでしょうか?

瓦という物は、ある程度の勾配がないと、その積み重ねてゆくという性質上、雨が回り込んでしまうのです。瓦を使う場合は、最低4寸勾配以上、出来れば4.5寸勾配は欲しいものです。私の自宅では、今回は5寸勾配でつくっています。勾配はキツイほうが雨漏りの心配は少なくなります。

しかし、それに伴い、2階の窓が小さくなったりするので、プラン上、注意が必要です。

当社の標準仕様は4.5寸勾配です。コロニアルで葺くときでも、このくらいの勾配でつくっておかないと、先行き瓦に葺き替えることは出来ません。

透湿防水シートの施工 平成12年5月27日

約10年前、画期的な発明がありました。透湿防水シートというものです。

室内側からの湿気は通し、外部からは水を通さないシートです。とても丈夫で素手では切れません。

このシートがないころは、外壁材を仕上げた後でなければ内部の工事は出来ず、これを待っていられなければ、断熱施工が先行され、本来水に濡れてはいけないはずの断熱材が雨ざらしにされるなんて悲惨な現場も少なからずあったようです。本来、外壁材(防火サイディング)は、第一次防水層として認識され、これだけで雨水を遮断できるものではないのです。

この透湿防水シートが、第二次防水層の役割を果たし、ココで完全に水を遮断するのです。ですから、このシートの貼り方が非常に重要なのです。

下の写真では、まずサッシ廻りの捨て貼りをするところをご紹介します。

サッシ廻りには予め捨て貼りをし、防水テープを施工し、その次に本貼りをします。出隅や入り隅には、予め幅300ミリ以上の捨て貼りを先行施工し、その上から本貼りをします。本貼りは、横方向に下から順にかぶせるように貼っていきます。重ね幅は十分にとるよう気を付けましょう。防水テープや捨て貼りを省略することは、つまり、手抜き工事をしているということになります。ココが雨漏りのポイントです。

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地震・火災・台風に強い「ダイライトパネル」構法 平成12年6月3日

壁倍率5.0という最高強度を誇る高耐震設計のタネアカシの部分にきました。

筋違の他に、もっと耐震性をとろうとしたときに、従来は構造用合板を使っていた造り手がたくさんいました。木造軸組構法に、地震に強い2×4工法を併せようとしたのでしょう。理屈は正解ですが、大きな間違いがありました。これは現在の2×4工法にも当てはまるのかもしれませんが、合板には透湿性能がないのです。そのため、湿気に非常に弱く、水の害を受けると大幅に寿命が短くなり、腐ってきてしまうのです。これは、壁内結露に強く関係しています。

しかし、ダイライトは、合板のような強さを持ちながら、透湿性能に優れているという特徴を持っているのです。

ですから、壁内の湿気を外壁内通気工法によって外部へ運ぶ、その過程を妨げないのです。それでいて高耐力を発揮する、火にも燃えない、無機質であるが為に白アリにも強い、まさに良い材料なのです。しかし、サッシ廻りの納まり等、工夫せねばならない事がいっぱいあります。たかが板一枚と侮る事なかれ。

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バルコニー防水工事について 平成12年6月10日

バルコニーの防水工事の時期になりました。この家には3つのバルコニーがあります。

そのうち2つは一般的な大きさのバルコニーなのですが、1つはおよそ12帖ほどの面積があるバルコニーになっています。さて、防水工事にもいろいろな手法がありまして、もちろん単価も違います。今回私の家で採用した防水工事の施工方法は2つ、工場生産され、予め金魚すくいの水槽のようにユニット化されたバルコニーを置く方法と、現場施工で防水層をつくるFRP防水の二つの方法です。ユニット化されたバルコニーは、既に完成品のため、そのものから漏水するという危険性はきわめて乏しい優れた防水手法です。価格も結構高いです。

しかし、大きさにある程度の限界、規制があり、搬入が可能かどうかが大きなポイントとなります。一体物を上げるので、それが出来ない場所、条件では無理です。品物はどうかというと、ユニットバスのバルコニー版というようなものなので、防水は完璧でしょう。

しかし、建物に取り付ける際に、立ち上がりの部分(角の部分)がまっすぐではなく、その製品の性質上しょうがないと思うのですが、若干波打っているような成形なので、建物の構造躯体とのジョイント部分が泣き所です。防水パンそのものよりも、ジョイント部分での工夫が必要で、机上の論理は通用しません。

その点、現場施工のFRP防水には、さすが現場合わせの作業ですので、ジョイント部分はばっちりです。しかし、現場で塗布しながらの防水施工ですので、職人の腕がその良し悪しを左右します。

ちなみに、現場施工のFRP防水には10年間の保証書が発行されますが、ユニットバルコニーは発行されません。現場施工は、どんな形、面積でも対応できますが、ユニットはある程度の大きさまでしか対応できません。搬入も問題です。

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ユニットバルコニーは、上記の写真のように人力、もしくはクレーンで搬入します。

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再開します! 平成14年6月24日

諸所の事情により「もしも私が家を建てたなら・・」、ずいぶん長い間お休みしていましたが、いよいよ2年ぶりにこのコーナーを再開いたします。
あまりにも本音を書きすぎて多方面にご迷惑を・・?いいえ、急に忙しくなりすぎて途中で中断せざるをえませんでした。ほとぼりも冷めたと思いますし、この2年で住宅もずいぶん変わりました。
これからも身近なことはこのコーナーでポツリポツリとお伝えしたいと思います。また、内容から、あえて見やすいレイアウトにはしていません。増え続けるショートコラムですが、このまま書き続けます。よろしくどうぞ。ここ一番の伝えたいことは「社長のつぶやき」でお伝えします。

住宅展示場に行って来ました。 平成14年7月15日

成田市の住宅展示場に行ってきました。
展示場に行ったのは約2年ぶりくらい?前に行ったときとは時代も違う事ながら、全体的に明るい感じに変わったなというのが第一印象です。
デザインも新しい住宅は斬新なものもいくつかあり、まあ勉強にはなりました。
しかし、とても気になってしまったことがあります。間取りやデザインは坪数も大きい(ほとんどが80坪以上)ので比較的自由度が高く参考になるものはありましたが、それだけでした。
ただ気になったのは一緒に行った妻が展示場を3つ見たところで具合が悪くなったこと。当日は猛暑で家の中の空気がよどんでいたような感じでした。建材から発する特有の臭いにやられたようです。
いわゆるシックハウスですね。目がチカチカして頭が痛くなるという特有の症状になりました。私は免疫があるのか商売上慣れているのか具合が悪いまではなりませんでしたが、建材の嫌なにおいはやはり感じました。
それでも、展示場の営業マンはホルムアルデヒド等、害のある塗料や接着剤は規定以下のものを使用しており、問題ないといいます。確かにF0、E0というものでしたが、まったくゼロではないのです。1階と2階の温度差もかなりあり、エアコンがなければ生活は出来ないでしょう。
普段、建材の使われていない木と土と紙とでつくった換気のしっかりした家に住んでしまっているので、体質が少し過敏になってしまっているようです。
生まれたときからこんな家に住んでいる子供たちは、きっとメーカーハウスには住めないでしょう。親として責任を果たさねばと感じてしまった一日でした。