2026/07/15
古民家の断熱リフォーム完了。要は窓!
少し前にこのブログでご紹介した、築100年を超える古民家の断熱リフォーム。
あの、天井の曲がり梁をどう納めるかで大工と頭を悩ませていた現場が、無事に完成しました。
悩んでいた曲がり梁は、白い天井の中にすっと一本、木の線として残しました。断熱材を入れて天井を下げながらも、梁の存在感は消さずに済んだ。現場で悩んだ甲斐がありました。

古い家というのは、とにかく隙間だらけ。床下、壁の中、天井裏…近年の建築であれば断熱材が入っているべきところがスカスカでした。冬の寒さ、夏の暑さが、そのまま室内に伝わってくる状態です。そこで、床下・壁・天井のすべてに、たっぷりと断熱材を入れました。部屋全体を、断熱材でぐるりと包み直すイメージです。これだけでも室内の環境は大きく変わります。

ただ、断熱リフォームで一番効くのは、実は窓です。
意外に思われるかもしれませんが、家の中で熱がもっとも多く出入りするのは、壁でも屋根でもなく、窓なのです。どれだけ壁や天井に断熱材を詰めても、窓が薄い一枚ガラスのままではそこから熱が逃げていく。断熱リフォームは窓で決まると言っていいくらい。

今回の家には、もともと単板ガラス(ガラス一枚だけ)の出窓が付いていました。冬はここが冷え、結露もしやすい。そこで、この出窓の内側に、ペアガラス(複層ガラス)の内窓を新しく取り付けました。

内窓というのは、今ある窓の内側に、もう一枚の窓を足す方法です。既存の窓と内窓の間に空気の層ができて、これが熱の出入りをぐっと抑えてくれます。ガラス自体もペアガラスなので、断熱の効果は二重です。窓を丸ごと入れ替えるより工事も手軽で、費用も抑えられる。古民家などの断熱リフォームではともて相性のいいやり方です。

床・壁・天井に断熱材を入れ、窓を二重にする。派手さはありませんが、この積み重ねで、家の住み心地は根本から変わります。古い家は「趣はあるけれど寒い」と言われがちですが、断熱の手を入れれば、その趣を残したまま、快適に住み続けることができます。
そして、古い家の改修には、新築にはない難しさがあります。今回、断熱と並んで手を焼いたのが、建物の傾きでした。
築100年ともなると、家はどうしても少しずつ傾いていきます。この家も例外ではありませんでした。分かりやすかったのが、部屋の間口です。1間(約1.8メートル)の幅で、左右の高さが3センチも違っていました。面白いのは、既存の障子戸の方です。外して調べてみると、家の傾きに合わせて、平行四辺形に削られていました。昔の職人が、傾いた家にぴたりと合うよう、建具のほうを歪ませて納めていたわけです。これはこれで、たいした仕事です。傾いた家には傾いた建具で応じる。理にかなっています。

ただ、今回は断熱改修にあたって、部屋の中を水平に直しました。床も壁も、まっすぐに。すると今度は平行四辺形の障子戸が合わなくなる。そこで、敷居と鴨居で高さの差を調整することにしました。結果として、敷居そのものが三角形という、少々変わった納まりになっています。そして障子戸のほうも、水平になった開口に合わせて、上下に新しい木を接ぎ木して寸法を直しました。言葉にすると数行ですが、ミリ単位の調整の連続です。傾いた家を相手に、どこを水平の基準にして、どの建具をどう削り、どこで辻褄を合わせるか。図面には描ききれない、現場の判断の積み重ねでした。

古い家の改修が新築と決定的に違うのは、この点です。
まっさらな更地に建てるのではなく、100年の歳月で少しずつ動いてきた家の「今の形」を受け止めながら、直していく。癖を読んでそれに合わせる。ここが、古民家改修のいちばん難しく、いちばん面白いところです。
100年前に建てられた家が、これから先も、ご家族を守りながら住み継がれていく。その手伝いができるのは、私たちにとっても嬉しい仕事です。
「うちも古くて寒くて、建て替えるしかないのか…」とお悩みの方。すべてを壊して建て直さなくても、断熱リフォームという選択肢もあります。今ある家を活かしながら、暮らしを楽にする方法です。断熱改修された方にしか分からないこの違い。お気軽にご相談ください。
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