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column

2026/04/15

「トイレのない家」に、誰が住めるのか

いっつも書いている、中東情勢の緊迫による「ナフサショック」。
TOTOの受注停止からわずか数日、4月13日付で国土交通省から「完了検査の柔軟な対応」が発表されました。

その内容とはトイレやキッチンが設置されていなくても検査済証を発行してもいいというこの特例。 一見、お施主様を救う救済措置に見えますが、その内情を紐解くと、実はお施主様にとっての地獄が隠されている可能性があります。

今回は、行政の発表した裏側にある、購入者の皆様が直面するであろう現実について書きます。

本来、完了検査とは、「建物が計画通りに完成し、人が安全に住める状態であること」を確認するもの。
当然、トイレやキッチン、浴室などの生活に不可欠な設備が設置されていることが前提となります。
今回の緩和措置は、2020年の新型コロナ禍におけるトイレ未設置問題の際に出された特例の準用です。 トイレやキッチンなどの水廻り設備は、後から付けることが確実なら今の段階で検査合格を出して良いというお墨付きを、国が検査機関に出したわけです。

これが何を意味するか。
建物は未完成でも、書類上は『完成』にできるということ。
ここにお施主様と住宅会社との間に、決定的な温度差が生まれます。

多くの住宅ローンや請負契約では、銀行からの融資実行や最終金の支払いに検査済証の提示が条件となっています。 これまでは、住める状態でなければ検査が通らず、検査が通らなければ会社は工事代金を請求できませんでした。しかし、今回の特例を使えば、キッチンもトイレもない状態のまま検査済証が発行されます。 すると会社側は、書類上は完成したので、最終代金を全額支払ってください。っという請求行為が可能になります。

会社にとってはキャッシュフローが守られる救済措置かもしれません。
しかし、お施主様の立場になって考えてみてください。

「完成」として引き渡され、ローンの支払いが始まる。
しかし、家にはキッチンもトイレも、お風呂もない。当然、引っ越しはできず、今の家賃と二重払いが続く。

トイレのない家でどうやって暮らせというの。 公園のトイレを使え、キッチンが届くまでカセットコンロでしのげ、というのでしょうか? 会社は書類上は引き渡したとして責任を逃れ、残った未設置工事がいつになるか分からないまま、お施主様だけがローンの金利と不安を背負い続けることになる可能性も…。

この緩和措置は、あくまで「工期の遅延による損害を、法的な手続きでどう緩和するか」という行政側の理屈です。
モノが入ってこない現状は確かに厳しい。 しかし、設備がないまま検査を通し、請求だけを急ぐような「会社の都合」をお施主様に押し付けることは、家づくりの本質から外れているように感じます。

 

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