2025/08/20
ビルの谷間の屋根工事
東京・神田。高層ビルが立ち並ぶこの一角に、昭和初期から続く名店「神田ぼたん」。
昭和4年に建てられたこの建物は、戦前から今も変わらず佇み続け、東京都の歴史的建造物にも選定される趣きあるお店。
外観の佇まいもそうですが、店内も時間が止まったような設えのままです。
現在進めているのは、その屋根の大棟(おおむね)の取り直し工事です。
かつての日本建築の多くは、棟瓦を葺き土と呼ばれる土の上に積むことで施工していました。これは昔ながらの伝統的な工法であり、土の重みや乾燥による硬化で棟瓦を固定する方法です。
しかし、地震や風雨が多い現代においては、耐久性や安全性を高める必要があります。今回の工事では、棟瓦を鉄筋に銅線でしっかりと縛り付け、その上からモルタルで固めていくという補強を施しています。
こちらの建物も瓦屋根は定期的なメンテナンスを行うことで、100年以上も保つことができます。
逆に言えば、メンテを怠れば瓦がずれ、雨漏りや劣化・落下につながることも。
住まいを長く守るためには、手を入れ続けるという意識が欠かせません。
住まいを建てること、守ること、そして次へ残すこと。その積み重ねが街を形づくり、人々の記憶を繋いでいく。
今回の屋根工事もまた、その一端を担う大切な仕事です。
お盆期間中も継続作業していた現場も間もなく完了となります。
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