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column

2025/09/09

お風呂とトイレは窓無し??

ここ数年、お客様との打ち合わせの中で、お風呂やトイレは窓なしで…というご要望を聞く機会が増えました。
私がこの仕事を始めた頃は、換気のためには窓は必須というのが当たり前。
ところが今ではその常識が変わりつつあります。

なぜか?その理由は大きく二つあります。

ひとつは性能の進化。
24時間換気システムや高性能の換気扇が標準化され、湿気や臭いを外に逃がす機能が、窓に頼らずとも十分に働くようになったこと。
もうひとつは、防犯やプライバシーの意識。
お風呂やトイレの小窓といえども外部とつながる以上、安心感を優先して「無くていい」と考える人が増えているのです。

メリットもはっきりしています。
窓がなければ壁の断熱が切れず、性能を確保しやすい。掃除の手間も減り、虫の侵入も防げる。
外観デザイン上もスッキリします。

ただし、デメリットもゼロではありません。
日中の自然光が入らないため、照明に頼るしかなく、緊急時の換気や開放感も少ない。
つまり「窓をつけない暮らし」をきちんと理解して選ばないと、後でやっぱり窓が欲しかったと後悔することになりかねません。特にお風呂は夜に入るものと割り切ると、確かに光は入らなくてもいいかも?と思ってしまいがち。

私自身の感覚では、窓のある暮らしにはやっぱり独特の抜け感や、外部とのつながりがあります。
けれど、性能を突き詰めていけば、不要なものは削ぎ落としていくという合理的な考え方もまた正解。
ここに家づくりの「価値観の分かれ道」があると感じています。

伝えたいのは、窓をつけるかどうかの話ではなく、「自分たちの暮らしにとって、何を大事にするか」という視点。
光や風を感じる安心感を選ぶのか、性能と安心を優先して窓を削るのか。正解はひとつではありません。

ただ、どちらを選ぶにせよ「なんとなく」ではなく、自分たちの価値観に沿った選択をしてほしい。

 

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