2025/11/02
芝山町 民泊改修工事 車いす対応の難しさ
現在進行中の芝山町の民泊改修プロジェクト。
観光庁の補助事業を活用し、ユニバーサルツーリズム対応の宿泊施設として整備を進めています。

今回のテーマは、車いすでのスムーズな動線の確保。
実際に着工してみて、改めて日本家屋をバリアフリー化する難しさを痛感しています。

もともと日本の住宅は、玄関や部屋の境、縁側など、段差を前提とした造りです。また、昔ながらの間取りは廊下や建具の幅が狭く、車いすが通れる最低限の幅(80cm)を確保するだけでも一苦労。
さらに、木造住宅は柱や耐力壁を簡単に動かせない構造のため、間口を広げたいと思っても構造上できないケースが多いのが現実。現場では日本家屋は段差と狭さとの戦いが日々続いています。

また、車いす対応で 一番の課題は「水まわり」。浴室やトイレ、洗面室といった水まわりは、特にスペースに余裕がなく、車いすで回転したり、介助者が一緒に入れるようにするには、一般的な住宅の1.5倍程度の広さが必要になります。
このため、限られた空間の中でどう動線を確保するかが最大の課題です。
もちろん、スロープの設置や廊下の拡張、段差の解消などには相応の費用がかかります。単にバリアフリーにするだけではなく、使いやすさとデザイン性の両立も欠かせません。費用をかけても、実際に使いにくいでは本末転倒。なので、現場では何度もシミュレーションを重ねながら、最適な寸法と動線を探りながら工事を進めています。

バリアフリーというと、障がい者のための特別な家と思われがちですが、本来は、誰にとっても使いやすい共通のデザインを目指すもの。高齢者、子ども、旅行者、そして車いすを利用する方。それぞれが不便なく過ごせる空間づくりこそ、これからの民泊・宿泊施設に求められる姿だと感じます。
今回の芝山町の現場は、私たちにとっても大きなチャレンジです。古い日本家屋をどう活かしながら、誰もが泊まれる宿に変えていくか。
構造上の制約は多いですが、諦めずに、知恵と工夫で乗り越えていきたいと思います。
できない理由ではなく、できる方法を探す
その精神で、これからも現場に向き合っていきます。
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