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column

2025/12/28

仕事納め。一年間ありがとうございました。

早いもので今年も、営業最終日を迎えました。事務所の片付けを終え、静かになった空間で一息つくと、今年一年、お打合せしてきたお客様の顔や、現場での出来事が次々と浮かんできます。

今年の住宅業界を見渡せば、景気の良い話ばかりではありません。数年前から続く全国的な着工棟数の減少、高止まりすることのない建築費、先行き不安を煽るような金利上昇のニュース。法改正による木造住宅の構造や住宅性能の厳格化など、世の中には今は家を建てる時期ではないという、損得勘定にも似た言葉で溢れています。

しかし、現場に立ち、お客様と対話を重ねてきた私の実感は少し違います。
むしろ、家づくりを「憧れ」や「流行」で片付けるのではなく、「自分たちの人生をどう守り、どう豊かにするか」という本質を真剣に見極めようとする方が増えた一年だったと感じています。
最近見かけなくなった999万円~の家づくりの会社や、デザインだけの建売住宅など、安さや見栄えだけで選ぶ時代は、もう終わったなと思います。 家をただの箱として消費するのか?それとも家族の命と平穏を預ける場所として投資するのか?その判断が、明確に分かれてきた時代かなと感じます。

私は今年、自分自身に一つの絶対的なルールを課しました。 それは、自分が心の底から住みたいと思えない家は、一棟もつくらないということ。

流行りのデザインや、目先のコストダウンに合わせる器用さは、私にはありません。
それよりも、朝、冷え切った廊下を裸足で歩ける喜びがあるか。 夏の酷暑の午後、玄関を開けた瞬間に「ああ、涼しい」と身体がホッとする空気があるか。 何十年経っても、不安を感じない骨太な安心があるか。

私たちが守り続けてきた断熱構造の技術や、地元で育った杉という素材。
そして、あたりまえのことを、どこよりも丁寧に、しつこいくらいにやり切る。
結局のところ、これ以上のブランドなど存在しないのだと、現場に出るたびに確信しています。

すべての人に選ばれる必要はないのかもしれません。
ただ、家族の健康と穏やかな時間を何よりも優先したいと願う人。そんな方々と、深く、長く、寄り添っていける工務店でありたい。

来季は、この想いをさらに研ぎ澄ませていきます。 無駄を削ぎ落とし、豊かさを濃縮した家づくり。
そして、五感のすべてが納得する「本物の空気感」。 それらを必要としている方に、真っ直ぐに届けていく一年にします。

今年一年、現場を支えてくれた職人の方々、共に走ってくれたスタッフ、そして何より私たちを信じて家づくりを託してくださったお施主様に、心より感謝申し上げます。

皆さまの存在が、私の迷いを消し、進むべき道を照らしてくれました。
感謝いたします。ありがとうございました。

皆さま、どうぞ良いお年をお迎えください。